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モデル規範による追従制御
モデル規範による追従制御…Homework
[1] 次の状態方程式で表される制御対象を考えます。
この状態が理想的なモデル
の状態を追従するように、すなわち追従誤差について
となるように制御則を決定したいとします。これは状態オブザーバの設計によく似ていますが、モデル(2)の入力が新規の入力であることが違います。
追従誤差のダイナミックスは
となります。いま条件
を仮定すると(は
を満たす疑似逆行列)、制御則
の下では、誤差方程式は次式となります。
実際、
以上から、制御則(6)の設計の指針として、まずと
は(5)より
だから、望ましいモデル(2)を(1)に対する状態フィードバックと入力変換で得るものとします。特には
から出力
までの定常ゲイン
が単位行列となるように、次式で決めます。
次にですが、(7)が安定行列であることが前提となり、望ましいモデルより、追従誤差は速いダイナミックスをもつことが必要であることに注意します。
[2] そこでスライディングモード制御を適用することを考えます。まずスイッチング関数を
とするとき、スライディングモード時は
すなわち
が成り立ち、等価制御は次式となります。
このとき追従誤差のダイナミックスは次式となります。
したがって、スライディングモード制御を適用したときの、全体の制御則は、次式で表されます。
ただし
演習…Flipped Classroom
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C44
C43
C42 出力数>=入力数
SM出力フィードバック…Homework
[1] 制御対象の状態空間表現として次式を考えます。
ただし、次のマッチング条件が成り立つとします。
このとき、適当なに対して、SM超平面
を考えます。ここで、の場合を考え、
を仮定します。さらに、(1)において座標変換を行って、C行列が
となるようにしておきます。
ここで、(4)より
したがって、ある直交行列により
とすることができます(の特異値分解から)。この
を用いた座標変換
を行って、次をの標準形を得ます。
ここで、を次のように表しておきます。
ただし
C41 出力数=入力数
SM出力フィードバック…Homework
[1] 制御対象の状態空間表現として次式を考えます。
ただし、次のマッチング条件が成り立つとします。
このとき、適当なに対して、SM超平面
を考えます。ここで、入力数=出力数()および
を仮定します。さらに、(1)はつぎの標準形であるとします。
これに対して、座標変換
を行って、次式を得ます。
●このとき、SMC則
ただし
を(,
,
は設計パラメータ)、2次安定性
ただし
が成り立つように決定します(,
)。
●実際、まずを
ただし
を満足するように選ぶことで、(11.1)を得ます。これは
と表せるので
となることから分かります。
●次に2次安定性(11)を示すために
に注意して
ここで
を用いて
C34 偏差系のSM安定化制御
偏差系のSM安定化制御…Homework
レギュレータ問題は平衡状態の安定化、追値問題は他の平衡状態への安定化を意味します。LQI制御のところでみたように、偏差系を導入すれば、追値問題は偏差系の安定化問題となります。この観点から積分動作導入による追従制御を見直してみます。
[1] 定値外乱を受ける制御対象
の出力を、次のコマンド(定値目標)
に追従させることを考えます。そのために、積分動作
を考え、次の拡大系を構成します。
定常状態では
を得ます(,
,
は定数ベクトル)。まず、(4)から(5)を引いて、つぎの偏差系を得ます。
偏差系E1:
この両辺を微分すれば、状態変数の中の定数ベクトルを除くことができて
偏差系E2:
を得ます。さらに、(1)の状態方程式と観測方程式をまとめた
から、(5)すなわち
を引いて、つぎの関係式が成り立ちます。
これを用いて、偏差系E2に座標変換を行えば
偏差系E3:
を得ます。ここで、つぎの関係式を用いました。
以下では、この偏差系E3が標準形となっていることに注意して、SMCを設計します。
(11)を、改めて次のように書きます。
スイッチング関数として、次式を考えます。
(15)に対して、座標変換
を行って、次式を得ます。
以下では、が安定行列となるようにスイッチング関数が選ばれていると仮定します。
このとき、SMC則
を、2次安定性
が成り立つように決定します(,
,
)。
[2] 可到達性の検討
等価制御は
のように得られます。(20)の第1項は、この等価制御をベースして
のように構成します(は安定行列)。このとき閉ループ系は次式で与えられます。
すなわち
ここで、は安定行列なので
を満たすを選ぶことができます。これを用いて
と選びます(は定数)。このとき次式が成り立ちます。
[3] スライディングモードの検討
は安定行列なので
を満たすを選ぶことができます。
[4] 積分動作をもつSMC
上で求めた偏差系E3に対するSMCは次式で与えられました。
これらを積分して、制御対象(1)に対する積分動作をもつSMCを導出します。
まず(32)は(10)を用いて次式のように書けます。
これを積分して
次に(33)は(10)を用いて次式のように書けます。
これを積分すれば
ここで、に注意し、(25)の第1式を用いて
は
となって元の状態方程式となりますが、を無視し、
の近似値を使うことも一手段かもしれません。
[5] 数値例(1)
,
の場合のシミュレーション結果を次に示します。
[5] 数値例(2)
,
の場合のシミュレーション結果を次に示します。
演習…Flipped Classroom
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C33 応用例
応用例…Homework
[1] ある航空機の線形状態方程式として、次を考えます。
行列の固有値は次のように求められます。
状態変数として、pitch angle の代わりに、fligt path angle
を用いると、次式となります。
また、評価変数は、fligt path angle とpitch angle
とすると、その出力方程式は次式のように与えられます。
制御目的は、次図のように、pitch angle とfligt path angle
の間の非干渉化を達成し、独立して設定値に合せることです。
図1 航空機の操縦法
[2] モデル規範による追従制御
この場合の制御則は次のように構成されます。
●追従すべき規範モデルは
ただし
いまこの規範モデルにもたせるべき望ましい固有値を
とし、また望ましいモード分布を次により指定します。
ここで、は望ましい固有ベクトルの要素を指定する場合1、指定しない場合0で表した行列、
は望ましい固有ベクトルの要素が非零指定の場合1、零の場合0、非零任意の場合-1で表した行列です。
このとき以下に示すプログラムを使って、次が得られます。
●ここでは、スイッチング関数
を構成するために
を2次形式評価関数
を最小にする
を求めます。
と選ぶとき、スイッチング関数を決める行列が、次のように得られます。
●を満たす
と
は、たとえば次のように定めます。
このときSMC則における行列は次のように計算されます。
図2 モデル規範法によるSMC制御系応答
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[3] 積分動作導入による追従制御
この場合の制御則は次のように構成されます。
●ここでは、等価制御による閉ループ系のが望ましい固有値・固有ベクトルをもつように設計して、次式からスイッチング関数を決める行列
を決定します。
の望ましい固有値を
とし、また望ましいモード分布を次により指定します。
このとき次のような行列を得ます。
このときSMC則における行列などは次のように計算されます。
図3 積分動作導によるSMC制御系応答
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C32 積分動作
積分動作導入による追従制御…Homework
[1] 制御対象
の出力を、次のコマンド
に追従させることを考えます(は安定行列)。そのために、積分動作
を考え、次の拡大系を構成します((1)は標準形であることを仮定)。
これを、次のように分割します。
動的システムの振る舞いが閉じ込められる超平面は としますが、
の場合のスイッチング関数として、次式を考えます。
(5)に対して、座標変換
を行って、次式を得ます。
以下では、が安定行列となるようにスイッチング関数が選ばれていると仮定します。
このとき、SMC則
を、2次安定性
が成り立つように決定します(,
,
)。
[2] 可到達性の検討
等価制御は、(8)においての場合
のように得られます。(10)の第1項は、この等価制御をベースして、
を満足させるように
のように構成します(は安定行列)。このとき閉ループ系は次式で与えられます。
すなわち
ここで、は安定行列なので
を満たすを選ぶことができます。これを用いて
と選びます()。このとき次式が成り立ちます。
[3] スライディングモードの検討
は安定行列なので
を満たすを選ぶことができます。
したがって
演習…Flipped Classroom
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C31 モデル規範による追従制御
モデル規範による追従制御…Homework
[1] 次の状態方程式で表される制御対象を考えます。
この状態が理想的なモデル
の状態を追従するように、すなわち追従誤差について
となるように制御則を決定したいとします。これは状態オブザーバの設計によく似ていますが、モデル(2)の入力が新規の入力であることが違います。
追従誤差のダイナミックスは
となります。いま条件
を仮定すると(は
を満たす疑似逆行列)、制御則
の下では、誤差方程式は次式となります。
実際、
以上から、制御則(6)の設計の指針として、まずと
は(5)より
だから、望ましいモデル(2)を(1)に対する状態フィードバックと入力変換で得るものとします。特には
から出力
までの定常ゲイン
が単位行列となるように、次式で決めます。
次にですが、(7)が安定行列であることが前提となり、望ましいモデルより、追従誤差は速いダイナミックスをもつことが必要であることに注意します。
[2] そこでスライディングモード制御を適用することを考えます。まずスイッチング関数を
とするとき、スライディングモード時は
すなわち
が成り立ち、等価制御は次式となります。
このとき追従誤差のダイナミックスは次式となります。
したがって、スライディングモード制御を適用したときの、全体の制御則は、次式で表されます。
ただし
演習…Flipped Classroom
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